手術を検討しているギタリストの方は、「お金」「期間」という現実的な問題とも向き合っているのではないでしょうか。2017年8月24日に、実際に私が東京女子医科大学病院で受けた「右上肢局所ジストニアに対する定位的視床核凝固術」を例に紹介していきます。
① 入院期間は18日間
おおざっぱな流れは下記の通りです。
◆8/22~23:採血、投薬、画像(MRI/CT)
◆8/24:手術
◆8/25~9/8:投薬、画像(MRI/CT)、術後経過観察、院内リハビリテーション
② 費用は約25万円(国保3割負担の場合)
手術費、病室代、食事代、リハビリテーション費、各種検査費などの総額です。
想定した額よりは安いという印象でした。脳に電極を埋め込む「脳深部刺激療法」と比べると1/20以下です。
病室代は個室か相部屋かでかなり開きがありますが、私の場合は4人部屋で3,000円/日でした。
③ 術後リハビリテーションは数か月~数年
手術の副作用として、
・発話(構音)障害
・半身麻痺
・半身筋力低下が起こりました。
また、13年にわたって「ジストニア症状ありき」の身体操作をしていたため、それが軽減された事により、基本動作(ギター演奏はもちろん、書字や箸の持ち方)においても再構築が必要となりました(1から運動を覚えなおす)
「不随意運動が起こりにくくなる代償として、ギターを始めた頃の感覚にリセットされる」
という感じに近いと思います。
ジストニア症状を100%消失させるのはかなり困難なようで、あくまで「軽減させる」というのがこの手術の目的です。
日常生活でも影響の大きい呂律のまわりにくさは、下記の動画を見て頂ければ分かると思います。
1回目の手術から10年後、2回目の手術の2か月前(2017年6月29日)
術後3日の様子がこれ、退院後も60日程度はこの感じが続きました
この記事を書いている時点で、2回目の手術から6ヵ月が過ぎようとしています。退院後はハートフルギター教室を運営しながら、初台リハビリテーション病院 にて機能回復の訓練を受けています。もともと解剖学や生理学の知識が少しあるので、神経系や運動系の話は理解しやすく、変な話ですが楽しみながら再起に向けて取り組んでおります。受動的にならず、積極的に行動する事でその効果も高められるのではないでしょうか。