前回 の記事で紹介した実験下において、今回は他3指の働き方を取り上げていきます。「特定の指を動かすとき、他の指がどれだけつられやすいか」という実験データです。
<実験2>
人さし指・中指・薬指・小指それぞれに圧力センサーを設置し、1本ずつ可能な限り素早くタップ(テーブル上を指頭でトントン叩く)させます。このとき、タップしている指/タップに参加していない3指それぞれが、どれくらいの力でテーブルを押しているかを計測しました。
<結果>
楽器未経験の方らは、動かしてはいけない3指をテーブルに押し付け、強く固定しようとする傾向にありました。対してプロの演奏家は、さほど固定する力を加えずとも、目的の指でタップできたようです。
また、それぞれの指でタップした圧力に関しても差がみられました。未経験の方らは薬指/小指が極端に弱く、プロの演奏家は4指均等に近い圧力でタップしており、著しい指間差は表れませんでした。
この実験から、
「いくら訓練を積んでも、各指の完全な独立は難しい」ということが分かります。
よって、
「他の指につられにくく、どの指でも同じような運動をできるようにする」ことが、フィジカル・トレーニングの目的となってくるでしょう。
完全な指の独立が難しい理由として、
・ヒトの手は多腱筋構造である
・運動ニューロンの伝達において、各指の明確な分離指令が出されない
などが挙げられるかと思います。