結論から言ってしまえば、自分は人より「手が小さい」「指が短い」「握力が弱い」は、ギターの押弦とあまり関係がありません。指は演奏のための道具であるとするならば、その道具の特徴を知り、使い方を学ぶことから始めましょう。
スポーツ科学などでは当たり前の話ですが、筋力(握力/指力)の強化は闇雲に行っても実践下で役に立つとは限らない…。もちろん、道具としての性能アップは故障のリスクを減らし、スペック上の余裕を持たせることは否定できません。しかし!ギターが上手に弾ける小学生の女の子、その握力を測定したら※115kgしかなかった…なんてことはザラにあります。
※1(握力の目安)
成人男性:40~45kg前後/成人女性:25~30kg前後
つまり「にぎる」「つかむ」「つまむ」などの単一的な動作において、数値的な力は既に備わっているということです。では、なぜ体格の良い成人男性がまともに「Fコード」すら鳴らせないのか!?
その理由は、力を効率的に伝えるための「かたち」「向き」「位置」など、複数の要素をパターン化できていないからです。人間の身体は繊細で複雑な動きが行える分、「どこに」「どれくらい」「どうやって」力を入れるのか(動かすのか)でその自由度はまるで変ってきます。一見同じような手の形(動き)であっても、指を曲げようとしているのか、手のひらを折り畳もうとしているのかで感覚は全く異なります。
少々理屈っぽくなりましたが、ギターよりも馴染み深い(と思われる)自転車/オートバイのブレーキ操作について見てみましょう。
■「悪い例」は4指を手前へ引き、リンゴを握り潰すようにレバーを「握って」います。
■「良い例」は4指を奥側へ滑らせ、レバーを手繰り寄せるように「手のひらを畳んで」います。
■「悪い例」は感覚的な支点があいまいなフォームのため、実際にレバーを引いた距離が分かりにくく、力加減のコントロールも難しい
→中間のレベルコントロールが難しい(ONとOFFしかない、融通が利かない)
【押弦時の症状】コードの押さえ方が限られる、チョーキングが大雑把になる、押弦ミスが増える、疲れやすくケガしやすいなど
■「良い例」はグリップの支え部分/レバーを手繰り寄せるが部分が独立し、距離や力加減の繊細なコントロールが可能になります
→どこからどこまで、どれくらいの力で動いたのかを把握しやすい
【押弦時の恩恵】それぞれの指の感覚を得やすい、力加減を細かく調節できる、距離感の正確性が増す、リラックスして弾けるなど
2輪車のブレーキ操作で例を示しましたが、単純にレバーを動かすだけでも全く異なる2つのフォーム(動作)ができました。
ギターの場合も基本的には同じで「ネックを握り潰しにかかる」のはコントロールを失う要因となります。押弦ではさらに繊細かつ複雑な組み合わせとなり、ある程度力を加えながら指先の角度を調整をするなどが当たり前です。次回は実際にギターを使い、求められる(鍛えるべき)能力について見ていきましょう。
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