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  • ハートフルギター教室

音楽家のジストニア:はじめに

 私自身、ジストニア を発症し、2007年4月に視床核 (VM)、2017年8月に視床核(VIM)、2度の定位脳手術を経験しています。1度目の手術は、症状を呈している部位と手術ポイントにズレがあったようで、残念な事に全く改善が見られませんでした。

 その後、2度目の手術を受けるまでの10年間、解剖学神経生理学人間工学 などを独学で学び、症状を抑制しやすい演奏フォームを体系的にまとめる事で、何とか音が出せるレベルまで回復させる事に成功。2017年8月以前に、YouTubeにアップロードしている動画 は全てジストニアに罹患している状態での演奏です。この時期の撮影はかなり困難で、簡単な演奏シーンでも100回は取り直すのが常でしたが、症状が出にくい弾き方 を模索するという目的があったため続けてこられました。

 しかし以前の20%(体感的に)ほどしか演奏力を発揮できず、リズムやタッチ、スピードに限界を感じていたため、2度目の手術を決意する事となりました。

 現在は発症後13年の間に低下した筋力、鈍った神経伝達系のリハビリに加え、手術の副作用である発話障害と半身麻痺の回復に向け、感覚再起訓練を行っています。

 こうした状況に陥りながらも音楽を続けてこられたのも、ハートフルギター教室へ通い続けて下さった生徒さんや、先輩ミュージシャンのお力添えがあったからです。また執刀して下さった平孝臣先生、ならびに手術チームのみなさまへ深くお礼申し上げます。

 このカテゴリーでは、自らの体験と科学的な事実に基づく運動理論をもとに、悲惨な末路をたどるギタリストを作らない事をテーマに綴っていきたいと思います。



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