どのようなギタリストがジストニアを発症しやすいのか、いくつかの関連書物に記述されている内容を下記にまとめてみました。
① 男性である
② 遺伝的あるいは生体力学的な特徴がみられる
③ 完璧主義者である
④ 高い技術力の保有者である
などなど…。
どれもその傾向が見られる、といった感じで確定的ではないです。
例えば、
「1日6時間のトレーニングを欠かさない、高度なテクニックを持つ神経質で完璧主義者の男性プロギタリスト」
であっても発症しないケースはあります。
要因不明なら予防対策のしようがないのでは?となってしまうところですが、自らが罹患してみて分かった(改善した)部分があり、実際にハートフルギター教室のレッスンでも多くの方に効果を上げています。
A.運動イメージがはっきりしていなければ、反復練習の効果はあまり見込めない(ゼロではないが効果はかなり低下する)
⇒ 「今、何を練習しているのか」を、自問自答してみる。もし明確に答えられないのなら、その練習を反復する意味とは?本来の反復練習とは、成功体験に基づきその再現性を高める事が目的である。
B.運動においては、より大きな筋肉を利用する。
⇒ 一見同じように見える動きであっても、意識する部位によって身体的ストレスはまるで異なる。目先の結果に捕らわれず、自分の身体と対話するようにフォーム構築すべきである。
C.トレーニング効果が現れるまでには、数時間~数日を要する。しかし当日中に何の変化も感じられない場合、それ以上繰り返しても後日成果は見込めない。
⇒ 効果の完全な定着には睡眠が必要だが、練習後に全くその効果が現れない場合は内容を改めた方が良い。見当違いな弾き方を繰り返す事はかえってリスキーである。
D.味方にできるものは全て利用する。
⇒ 「重力」「弦の弾性力」「ボディ形状」などの外的要素に逆らおうとする弾き方になっていませんか?考え方次第でこれらを利用でき、ストレスの少ない弾き方へシフトする事が可能となります。
E.「握る」という動作は必要ない。
⇒ 押弦時にネックを握る、ピックを握りしめる…この行為は前腕の緊張(同時収縮)を招きます。結果的に指頭が物体に触れているだけで、自然な動作の本質はもっと別のところにあります。
近年、世界中の研究機関において、ジストニアの予防対策と症状改善、また再発防止に向けて様々な取り組みが見られます。しかし今回紹介した内容は、他力本願ではなく個人レベルですぐに実行可能なものばかり。ジストニアを発症してしまった方、そうでない方に関係なく、ここでの内容が参考になれば幸いです。